最近良く聞かれるようになった「小規模多機能事業所」。
2006年の介護保険の改正により誕生しました。
では小規模多機能事業所って何でしょうか?
一体どんな介護施設なのでしょうか?
職員はどんな仕事をし、給料はどのくらいなのでしょうか?
小規多機能事業所は特別養護老人ホームとも在宅介護ともデイサービスとも違います。
「小規模多機能事業所に興味がある」
「多くの経験を積みたい」
「将来ケアマネージャーの資格を取り、キャリアを目指している」
など思う方は是非小規模多機能事業所も検討されてみてはいかがでしょうか?
ここでは小規模多機能事業所について詳しく解説して行きたいと思います。
認知症や一人暮らしを支える小規模多機能事業所って何なの?
そもそも小規模多機能と名前はすごそうな名前ですが中身は一体どんなものなのでしょうか?
詳しく解説したいと思います。
小規模多機能が出来た由来は?いつ出来たの?
「在宅で24時間・365日の安心を提供し、切れ目のない在宅サービスを提供すること」を目的として作られました。
特に認知症を患ったり、介護者が増加したとしても在宅で生活出来ることを支援できるという目的です。
2006年に介護保険改正により出来たサービスで「小規模多機能型居宅介護」と呼ばれます。
そもそも「小規模」って?
「小規模」とは特別養護老人ホームや老人保健施設のような「大規模」施設と対置させた言葉です。
「集団ケアの施設から個別ケアの在宅へ」という理念のもと作られました。
対象の利用者は在宅で生活している中重度の要介護者です。特に認知症ケアをベースに考えられた仕組みです。
多機能とは?
デイサービスのように「通うこと」を中心として、時にはホームヘルプサービスのように「訪問介護」もしてくれ、また必要に応じてショートステイのような「泊まり」も出来るという意味です。
これは利用者にとっては良く知った職員が24時間対応してくれるという大きなメリットがあります。
小規模多機能の定員は?
事業所の登録定員は25人以下です。
通い(デイサービスの機能)の定員は一日15人以下です。
泊まり(ショートステイの機能)の定員は一日9人以下となっています。
その他特徴
その他にも小規模多機能には細かい特徴があります。
<小規模多機能事業所の必要な量は市区町村が決める>
小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスに分類されます。市区町村で適正なサービス量の基盤整備が行われます。
<他のサービスとの併用が出来ない>
小規模多機能は例外を除いては基本的に他のサービスとの併用ができません。
他の訪問介護事業所やデイサービスに通うということが出来なくなります。
ただ自宅において訪問看護や訪問リハビリなどは受けることができます。
<小規模多機能の事業所に設置されたケアマネージャーに変更する>
今まで在宅を利用していたご利用者でケアプランの作成をしてくれたケアマネージャーも小規模多機能事業所に設置されたケアマネに変更しなくてはなりません。
小規模多機能型事業所で働く介護職の仕事内容と役割
小規模多機能型事業所で働く介護職の具体的な仕事内容や役割を見て行きたいと思います。
通所(デイサービス)の仕事
小規模多機能の介護は基本はデイサービスと同じ通所の仕事です。
通常のデイサービスとの違いは、通常のデイは決まった時間の契約で、内容も決まっていますが、小規模多機能の通いは利用者のニーズに合わせたサービスの使い方が出来るということです。
例えば夕食を食べてから帰るなどにも対応してくれます。仕事内容は通常のデイサービスと同じです。
送迎サービス、レクレーション、リハビリ、入浴介助、食事介助、排泄介助、着脱介助 など
訪問介護の仕事
通常の訪問介護と同じように、ご利用者の家で食事作り、掃除、洗濯、排泄介助などがあります。
通常の訪問介護では月の利用時間が決まっていますが、小規模多機能の場合は時間や回数が無制限で使えます。
それゆえ安否確認やお話し相手などの仕事もあるようです。
泊まりの仕事
ショートステイやグループホームなどの仕事と同じように宿泊の仕事です。
通常ショートステイですと特別養護老人ホームなどで空きベットなどを利用し行われるため、たくさんのご利用者を見る必要がありますが、小規模多機能の場合それほど人数は多くは無いです。
小規模多機能事業所の仕事は他の介護の仕事に比べ、多岐にわたる
施設の仕事やデイ、在宅介護では同じ介護でも、その仕事内容や求められるものは全く違います。
それぞれに求められるものがありコツがいります。
「私は施設での経験があるから、すぐに在宅で活躍できるだろう」と安易な気持ちで仕事に就くと、その違いに驚かされることもあります。
しかし、小規模多機能の仕事はその3つをこなす必要があります。短期間でスキルを身につけたいという人にはもってこいの仕事です。
小規模多機能事業所で働く介護職の年収/給料とキャリアパス
では小規模多機能事業所で働く介護職の年収や給料やキャリアパスなどなどうなっているのでしょうか?
それぞれで見て行きたいと思います。
小規模多機能事業所で働く介護職の給料
介護職では軒並み給与が低いというのは介護報酬で運営しているため収益に限界があるからですが、多くの小規模多機能事業所では運営が大変な様子です。
それゆえ人件費にもあまり繁栄できないというのが現状でしょう。
変形時間労働制をとっており土日なく365日の勤務です。
訪問介護に車も必要とするならば運転免許も必要になります。また夜勤もあります。
基本給が16万〜19万+資格手当であとはボーナスがどれくらい出るかに寄るかと思います。
施設にも寄るというところですが、なかなか介護報酬を考えると施設並みに払えるところは少ないというのが現状です。
小規模多機能事業所で働く介護職のキャリアパス
キャリアを積めるという点では通いや泊まり、訪問の仕事を兼務出来、なおかつケアマネジャーもいますからその仕事ぶりを観察できるという点で多くのことが学べるでしょう。
やってみるとわかるのですが同じ介護でも通いには通いの、訪問には訪問なりの仕事に求められるものが違います。
大変さや知識などは実際にやってみないとわからないことも多いです。
全てを短期間で学べるという点では、将来ケアマネージャーや相談員の仕事をしたいという人にとっては良いキャリアが積めるでしょう。
小規模多機能事業所で働く介護職のメリットとデメリット
小規模多機能事業所で働く介護職のメリットデミリットとはなんでしょうか?それぞれで見て行きたいと思います。
メリット
ご利用者が(職員が)一緒
これはご利用者側のメリットでもあるのですが顔なじみの職員が一日をかけて対応してくれるというのはこの上のないメリットです。
職員側もご利用者の把握する際、人間相手ですからいくらアセスメントをとろうと対応してみないとわからないということがあります。
どんな病気を抱え、どんな薬を飲み、どんなコミュニケーションだと喜ぶのか、これは実際に接しないとわかりません。
また人間ですから家に帰ると内弁慶の性格の人も入れば、夜に妄想がひどくなったりなど多面的に見ないとわからないことも多いです。
お互いに同じ職員ご利用者で一日を接することが出来るというのは多機能のメリットでもあります。
小規模ならではの関わり
特別養護老人ホームなどは多くの利用者を職員で見る必要があるため、個別対応というのは難しいです。
ですが小規模ですと、場面に寄っては個別に対応することができます。
介護職を希望している方の多くは「人の為に役に立ちたい」というモチベーションで動いている方も多いですが、それを実感できるのが小規模の良い点でもあります。
多くの経験が積める
介護職として資格を取る際は実務経験というのが必要になります。
しかし同じ3年間という実務経験でも実際に特別養護老人ホームなどの施設の経験と在宅の経験では資格を取る際は同じ経験でも仕事をする際には全く違うものです。
同じ運転でもトラックの運転手とタクシーの運転手の内容が違うのと同じぐらい内容が違うものです。
小規模多機能の場合通所、泊まり、在宅など全ての経験が積めますので将来ケアマネージャーや相談員などになりたい方にはまとめて経験が積めるので、ケアマネージャーや相談員の業務に就いた時にその経験が活きてきます。
小規模多機能のメリットは、「小規模」=個々のかかわり合いと「多機能」=多くの経験が積めるというところでしょう。
介護職として仕事していると「もっと個別に対応できれば良くなるのに」というジレンマが生まれることが多くなることも多いですが小規模であれば施設に比べ個別対応のケースも多くなります。
また経験で言えば例えるなら同じ運転でもトラックの運転技術とバスの運転技術とタクシーの運転技術が全て積めるという感じです。
介護職として多くの経験が積めるというのは将来ケアマネや相談員になったときに多いに役立つでしょう。
デメリット
求められる技術が高い
同じ介護職でも在宅に求められる技術と施設に求められる技術はまるで違います。
例えば在宅の場合ご利用者の家まで行きます。ということは家までの行き方や地理がある程度詳しくなる必要があります。
また車で行く場合には普通免許や運転技術も必要になります。
また在宅で食事作りとなるとその冷蔵庫にあるようなもので作らなくてはなりません。
というように施設介護と在宅では求められる技術が違います。
人間ですから得意なこと不得意なことがあって当然なのですが、小規模多機能の職員はある程度全てオールラウンドにこなす能力が必要があります。
高い給料は求められない
小規模多機能の収入の構造上あまり高い給料が求められないというのがあります。
その施設の給料を考える際どのように収益が入ってくるかを考えると給料がわかります。
人数枠も決まっているので施設の収入はある程度決まってしまいます。
そうするとやはり人件費にそんなに充てられないのが現状です。
土日、祝日、年末年始など休めるとは限らない
基本は365日の対応ですので特別養護老人ホームのような施設と同じでシフト制です。
デイサービスなどでは日曜が休みなどあり休めるところもありますが、小規模多機能は施設と同じですので、土日、祝日、年末年始など確実に休めるという保証はありません。
小規模多機能事業所でのデミリットはメリットと背中合わせの部分でしょう。
「多くの経験が積める」=「多くの経験をこなさないといけない」とか「施設と同じ365日対応しなくてはならない」などがあります。
また施設程に事業収入が良いという分けではありませんから、給料に繁栄出来ないというデミリットもあります。
介護職で一旗上げようというモチベーションが無い方にとってはあまり良い環境ではないかもしれません。
小規模多機能事業所の選び方の3つのポイント
では小規模多機能事業所を選ぶ際どのような事業所を選べば良いのでしょうか?
3つポイントを説明します。
その地域の地理に詳しいか?
施設介護であればその施設の場所さえ分かれば良いですが、小規模多機能は通所や居宅もありますので送迎や利用者の家まで行くということがあります。
あなたがその地域の地理にある程度詳しくなる必要があります。
元々地理感覚が得意であったり、今ではスマ−トフォンが使えればある程度地理はわかりますが、スマホが使えなかったり、地理が苦手な方の場合どうしたって地理には苦労します。
その場合やはり地理に詳しい地域の方が良いですよね。
ボーナスはどれくらい出て年収はどれくらいになるか?
介護職なので給料が高いというのは望めませんが、生活できない程の博給という施設もあります。
その際月額も大事なのですがボーナスがどれくらい出て年収がどれくらいになるか?というところが大事です。
月額は基本求人票に載っていますがボーナスまでは載っていないこともありますので面接の際や問い合わせの際にも確認しておきましょう。
医療法人が運営されていたり病院と併設されていれば給料が良いところもある
医療法人が運営されていたり病院が併設されているなどのところは給料が高い所もあるようですので調べて見る際ポイントにしましょう。
また医療法人であれば福利厚生が充実していて保育室が完備されていたり子育てする女性に取っては良い環境かもしれません。
小規模多機能事業所の求人を探すなら介護職専門の転職サイトを活用しよう
小規模多機能事業所など介護施設を探す際のポイントは「自分に合っているか」ということがとても大事になってきます。
給料だけでなく、勤務時間や福利厚生やその施設の雰囲気、考え方などもとても大事です。
合わないととてもストレスになり仕事を続けて行くことができなくなります。
多くの施設や求人数を探し、比較検討するなら介護職専門の転職サイトを活用するのが良いでしょう。
転職で失敗しないためには転職エージェント選びも重要な要素の一つです。
[aside type=”normal”] 転職エージェントを選ぶ3つのポイント- 求職者の細かな要望に応えられるよう十分な求人を保有している(介護職の場合、特に条件アップや待遇の改善)
- 求人先の離職率や職場の雰囲気、上司の性格などの内部情報を把握している
- 内定をもらうための履歴書のアドバイスや面接対策を行なっている
特にスマイルサポート介護は、介護職からの評価が高く上記3つのポイントを十分に満たす転職エージェントです。
もともと首都圏を中心に求人紹介をしていましたが、今では全国の求人を取り扱う上、派遣での就業もサポートしているためライフスタイルの変化に伴って生涯頼っていける転職エージェントです。
たとえ今すぐに転職するつもりがなくても、普段から転職サイトはマメにチェックしておき、条件の良い求人が出たらすぐに対応できるよう準備しておきましょう。
短期間で介護職として経験を積みたい方には小規模多機能事業所がおすすめ
介護職として短期間で色々な経験を積み、資格を取り、キャリアを積みたいという方には小規模多機能というのは本当に良い施設です。
ケアマネジャーになったとき個別計画を作る際にも1つの場所の経験よりも多くの経験をされている方が利用者にとっても良いアドバイスが出来ます。
もしあなたが介護業界でキャリアを積みたいと考えているならば是非小規模多機能事業所も就職先のひとつとして検討されてはいかがでしょうか?