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介護職をする方・目指す方の感染対策について(感染経路を中心に)

感染症対策

感染源となる病原体は一体どこからくるのでしょうか?

介護現場において、入所されている方や職員へ感染を起こす細菌やウイルスといった感染性微生物はいったいどこから来るのでしょうか?

答えは意外にも、その施設で働いている介護職員であったり、または、入所されている方のご家族(面会に来られた時や外泊されたときなどの接触による)であったりすることが多いんです。

また、その他にも、介護施設で使用する布団などの寝具類や血圧計などの器具類、薬品を含む、介護現場内に置かれている環境物質などが感染源となることも以外と多いんですよ。

ここでは、介護現場で実際に働いている方や、これから介護現場で働こうという方へ、細菌やウイルスなどの病原性微生物がどのような感染経路をたどって入所者に感染するかを中心に解説させていただきたいと思います。

宿主とはなんでしょうか?

宿主(しゅくしゅ)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

この宿主ですが、細菌やウイルス、寄生虫などの病原体に寄生される生物(ここでは介護施設の入所者)のことを指して言います。

これらの病原菌に対する免疫力(抵抗力)は、人それぞれ大きく異なります。

ある人は細菌やウイルスなどの感染に対して免疫があり、病原体の定着にも抵抗できるのです。

また、ある人は、同じ病原体でも共生関係ができているがために、無症候キャリア(菌が体内に定着しているのですが病気を発症しない状態のことです)となっています。

それとは逆に、免疫力の劣っている人では、同じ病原体の感染なのですが、病気を発症してしまうことがあるのです。

高齢者や何らかの疾患を持った方、あるいは外科的手術を受けたばかりの方、抗菌剤や副腎皮質ステロイド・免疫抑制剤を投与している方、放射線療法を受けている方などでは、免疫力の低下していることが多いのでこれらの方には十分注意が必要です!

感染経路とはなんでしょか?

細菌やウイルス、疥癬などの病原体は、それぞれの病原体ごとに違った経路で感染をしていきます。

大きく分けて「空気感染」・「飛沫感染」・「接触感染」の3つにわけることができます。

それぞれ違った感染対策が必要となります。

空気感染とは?

空気感染は、空気媒介性飛沫核(くうきばいかいせいひまつかく:細菌やウイルスなどの微生物を含む飛沫が気化した後の小粒子〈直径5ミクロン以下〉で長時間空中を浮遊する)、または、病原体を含む粉塵粒子の播種(まき散らされること)によっておこるのです。

この感染経路で運ばれる微生物は空気の流れによって広く撒き散らされるため、同室内あるいは環境因子でより遠く離れた免疫力が低下した人に吸引されてしまうことがあるのです。

結核菌(肺結核)などがこの空気感染によって媒介されます。

飛沫感染とは?

飛沫感染は、咳・くしゃみ・会話の時など、または、気管吸引や気管支鏡のような手技を行っている時に、感染源となる人から生じてしまうのです。

感染は、感染している人から、発生した微生物などを含む飛沫が空気を通って短い距離を進み、宿主の目の結膜や鼻粘膜、口腔内に沈着していくのです。

微生物などを含む飛沫が空気中を移動する距離は、約1mと言われておりますので、感染対策としては、特別な空調や換気は必要ありません。

インフルエンザなどがこの飛沫感染によって媒介されます。

接触感染とは?

この接触感染ですが、介護を行う上で一番重要な感染経路であり、かつ、最も出くわす頻度が高いものでもあるためとても大切です。しっかりと頭の中へ入れましょう!

「接触感染」というだけあって、入所者の方に何かしらの感染源が触れた時におこる感染です。

さらに、介護者や他の入所者、あるいはご家族などが直接触れることによっておこる「直接接触感染」と、感染性病原体に汚染された器具類やベッド等の環境要因から感染がおこる「間接接触感染」とに分けることができます。

1、直接接触感染


感染源となる入所者との皮膚同士の直接接触や、(無症候性キャリアーの)介護職員による入浴時や体位変換などの介助をしている時の接触時い起こったりします。

2、間接接触感染


病原性微生物に汚染された器具類や布団などのリネン類、ベッド柵など、人以外の物を介しての感染です。

ある種の抗生剤しか効かなくなってしまうMRSAや、介護現場で非常に多い疥癬症(肥前ダニ)などがこの接触感染によって媒介されます。

まとめ

現在、介護職員として働いている方、または、これから介護職を目指そうという方々の参考になりましたでしょうか。

今回は、感染経路を中心に解説させていただきましたが、介護施設に入所されている方々は高齢の方が多く、免疫力の低下している方が非常に多いのが現状です。

入所者のより良い衛生環境作りのお手伝いをし、安心安全な生活をしていただくためにも、我々、介護の現場で働くものが、正しい知識と豊富な経験を持つことがなにより重要であると思います。