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社会福祉士の仕事内容と転職・求人情報

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高齢化が進み、ますます需要が高まる介護(高齢者福祉)をはじめとし、生活保護や児童福祉、家庭福祉、障害者の就労支援など幅広い分野での相談業務を行う社会福祉士は、社会福祉業務分野における国家資格です。

介護を必要とする方への相談援助を行うケアマネージャーから実務経験を経て社会福祉士の資格取得を目指す方も多く、資格の有無が転職やスキルアップをする際に大きなメリットとなることも少なくありません。

社会福祉士になるには、国家資格を合格する必要があります。平成27年度の社会福祉士合格率は、26.2%と年々合格率は下がり気味となっているため、難易度が高いのも事実。

猛勉強して取得した資格をどんな場所で生かせるのか、今日は社会福祉士の仕事内容と転職・求人事情について整理してみましょう。

社会福祉士の主な仕事内容と役割

社会福祉士とは、さまざまな悩み・問題を抱える方に対して公的支援や介護保険サービスなどの地域サービスを紹介し、より良い暮らしを送れるようサポートする仕事です。

福祉分野のエキスパートとして活躍する社会福祉士の仕事は、職場によっても仕事内容が大きく異なります。もっともポピュラーなのが老人ホームや福祉施設での生活相談員としての仕事です。

介護施設での生活相談員としての仕事を簡単にご紹介します。

老人ホームなどで働く社会福祉士の仕事は、大きく分けて「相談」「援助プランの立案」「定期的なプランの見直しや評価」「公的手続きなどの代行」「公的支援の情報提供」の5つがあります。

相談業務


社会福祉士の業務でもっとも大切な仕事の一つが、老人ホームやデイサービスなど福祉施設の利用者の生活をより良いものとするための、相談業務です。

施設入所・利用開始前の生活の様子や、必要な支援内容、利用者さんの性格などにも踏み込み、どのようなサービスが利用者さんにぴったりなのかを話し合います。

相談業務はサービスを受ける本人だけでなく家族から話を聞く元も多く、1回1時間から2時間程度。場合によっては複数回行うこともあります。じっくりと対話をしながら、ニーズを汲み取るコミュニケーション能力が必要となってきます。

援助プランの立案


利用者やその家族の要望や願い、状況を相談業務で把握したあとは、具体的な支援計画の立案という仕事が待っています。
例えば「週に何回程度、入浴介助が必要か」「食事のサポートは必要か」「在宅で生活を続けるためのリフォームはどんな内容がいいのか」など実際に利用するサービスの内容を細かく考えていきます。

相談者の経済的な状況や家庭事情などから生活保護など経済的支援制度を紹介することもあり、福祉サービスを熟知していないとできない仕事です。

定期的なプランの見直し・評価


社会福祉士の仕事は、援助プランを考えるだけで終わりではありません。例えば介護が必要な高齢者であれば、認知症の進行や病気、老化などにより必要な支援内容は時間を経れば変わってきます。

また、最初に作った援助プランが実際の生活にマッチしているかを確認することも大切です。
そのため、社会福祉士は、定期的に援助プランが利用者さんに会っているかを見直すために、ヒアリングや相談などを通じて再評価していきます。

公的手続きなどの代行


利用者さんへの援助プランによっては、行政などの公的機関で様々な手続きをすることが必要です。例えば、介護が必要な高齢者の方の住宅をリフォームする場合には、リフォーム資金の一部が支給されることがあります。

こうした支給に関する手続きも社会福祉士が代行して行いますので、必要書類をまとめたり、行政担当者とのやりとりを行うことも社会福祉士の仕事のひとつです。

公的支援の情報提供


社会情勢の変化により、経済的に厳しい中で福祉サービスを必要とする方も増えてきています
厚労省の発表によれば、高齢者の生活保護受給者は2013年時点で88万人(平成27年度版高齢社会白書)。その数は年々増加傾向にあります。

このように、社会福祉士として関わるが公的支援を必要としているケースは少なくありません。そのため、公的支援を必要とする利用者に対して、情報や手続き方法に関するアドバイスを行うことも、社会福祉士に求められているのです。

社会福祉士の1日のスケジュール

社会福祉士の働く職場は、地域包括支援センターや、介護福祉施設、児童相談所などさまざまです。そのため、1日のスケジュールは職場・働き方によって大きく異なります。

今回は、社会福祉施設等で働く地域包括支援センターでソーシャルワーカーとして働く社会福祉士の1日を見てみましょう。

9:00 出勤、朝礼でチーム内の情報
9:30 新たに介護認定を受け、訪問介護サービスやデイサービスを利用したいと希望するAさんの自宅を訪問。生活の様子や、介護度、家族の意見などを聞きながら、具体的にどんなサービスが受けたいかを打ち合わせ
11:00 以前、介護支援計画を作成した、Hさんの自宅を訪問。サービスの利用状況や、困っていることなどがないかを確認。自宅をに手すりをつけたいという相談を受け、指定契約業者を紹介・手続き代行することに
12:00 外出先でランチ。食事しながら、午後に予定している市役所での定例連絡会議のための資料を確認
13:30 市役所の担当者、関係機関が集まる定例連絡会議に参加
15:00 センターに戻り、デスクワーク。午前中に訪問したAさんのためのケアプランを作成したり、介護リフォーム業者に電話で工事見積もり可能日などの調整を行う
17:00 介護サービスを受けたいが、介護認定申請の仕方がわからないという問い合わせの電話。電話口にて簡単な申請手順などを説明し、後日面談の約束を
18:00 勤務終了

上記はあくまでも一例ですが、一般的に社会福祉士はデスクワークだけでなく、実際に利用者やサービス提供者、行政担当者などとの間を縦横無尽に動き回り、サービス利用開始までのサポートを行うことがメインの業務となります。

そのため、コミュニケーション能力や調整力が福祉に関する知識と同じかそれ以上に求められているのです。

社会福祉士が働く職場と役割

社会福祉士が働く職場は、サポート対象者ごとにさまざまな職場があります。

高齢者の生活をサポートする職場

主な施設・事業所

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • デイサービスセンター
  • 訪問介護ステーション
  • 地域包括支援センターなど

役割

ソーシャルワーカーや生活相談員として、施設やサービスを利用する高齢者とその家族に対して適切なサービスプランを提案。サービス利用の調整やサポートを行います。

障がい者をサポートする職場

主な施設・事業所

  • 身体障害者更生施設
  • 知的障害者福祉ホーム
  • 身体障害者福祉センターなど

役割


作業指導員・生活相談員として、自立ある生活を維持するため、安心して生活するための指導・サポートを行います。

子どもをサポートする職場

主な施設・事業所

  • 児童養護施設
  • 児童相談所
  • 母子福祉センター
  • 母子生活支援施設など

役割


虐待や経済的理由で保護者の養育が受けられない子供たちに対する福祉サービスを紹介したり、非行や不良行為に走る子どもたちや家庭を支える仕事を行います。

生活困窮者をサポートする職場

主な施設・事業所

  • 都道府県の福祉事務所

役割


母子家庭や失業者、貧困者などに対して、生活保護受給の相談や失業手当申請などの情報提供。地域の福祉支援サービスを紹介したりします。

社会福祉士の年収・給料・賞与

社会福祉士は、幅広い福祉分野で活躍する資格です。そのため、年収や給料など待遇面は職場によって大きな差があるのも事実。

とはいえ、社会福祉士という仕事が国家資格であることから公務員として採用されることもあり、福祉厚生や待遇面などで比較的手厚いことが多くなっています。

以下は、厚生労働省統計から抜粋した、介護老人福祉施設・常勤職員の平均年収・月収です。非常勤の場合は、もちろん給与が下がります。

介護老人福祉施設・常勤職員の収入

他の介護関連の仕事と比べて特筆すべきなのが、頑張り次第でキャリアアップや年収アップを見込め、介護職やケアマネージャーから次のキャリアとして取得を目指す方も多い点。

同様の資格にケアマネージャー(介護支援専門員)がありますが、ケアマネージャーよりも幅広い知識を必要とすること、国家資格であることなどからケアマネージャーよりも待遇面で優遇されることも少なくありません。

社会福祉士がいる福祉事業所に対する調査では、社会福祉士の有資格者に対して何らかの「手当て」を出している事業所は全体の3割ほど。資格があることが給与面でも優位に働くこともあるといえます。

ハードなイメージも多い介護職の中でも、社会福祉士はより専門性の高い職種としてキャリア形成においても視野に入れたい資格であることは間違いありません。

社会福祉士を取り巻く環境と将来性

社会福祉士になるためには


社会福祉士は、今後もますます必要とされる職種です。介護を必要とする高齢者人口の増加などを受け、介護の現場や高齢者福祉の現場では福祉制度を熟知した人材はどの事業所においても即戦力となりうる人材です。

厚生労働省が発表している統計によれば、社会福祉士の登録者は平成25年9月末で約16.5万人。年々登録者数は増加傾向にあるものの、単年度の増加数は逆に減ってきています。

社会福祉士になるには、以下の要件のうちいずれかひとつ満たしていないと国家試験の受験資格がありません。


  • 厚労省指定指定18科目の4年制大学卒業
  • 福祉系4年生大学にて指定課程を修了
  • 福祉系短大にて指定課目修了後、実務経験1~2年
  • 一般4年制大学卒業後、養成施設にて知識を学ぶ
  • 一般短大卒業後、1~2年の実務経験+養成施設で知識を学ぶ
  • 通信制大学にて指定の大学資格取得

職場選びのコツ


また、介護施設、養護施設、地域包括ケアセンター、児童福祉相談所など働く場も多いですから、働き方や目指す収入に合わせて職場を選べます。

ただし、公務員として採用される地域包括支援センターや行政関連への就職希望者は多く、就職先の第一志望と考えている人も多いため競争率が高いのも事実。

一方で、有料老人ホームや老人保健施設、デイサービスなど民間介護施設は求人数こそあるものの、実際の現場では採用直後は介護職などを経験することも多いです。

今後は成年後見人としての役割も


一人暮らし高齢者や認知症患者数の増加に伴い、最近では身寄りのないこうした高齢者の財産をしっかりと守る「後見人」と呼ばれる存在に注目が集まっています。

後見人は、預貯金の管理や介護サービス費用の支払いなど財産管理全般を行うため高い専門性と事務スキルが求められますが、社会福祉士事務所の中には後見人サービスを行うところも増えています。

こうした分野での社会福祉士の役割も今後増えていくと考えられています。

社会福祉士の求人・転職状況に関して

業務・職場も幅広い社会福祉士


社会福祉士の求人は介護関連のサポートしかできないケアマネージャーと比べて、就職先が多岐にわたるため比較的就職しやすいと言えます。

「社会福祉士」として新卒応募することはあまりなく、若手であれば介護職の就職において有資格であることが大きなアピールポイントとなる程度に考えておいた方がいいかもしれません。

逆に、社会福祉法人などで働く人にとって、社会福祉士の資格取得が施設長への昇進などにつながるケースも多く、キャリアアップの一環として資格取得する人も少なくありません。

社会福祉士と一言で言っても職場のバリエーション、業務内容が多岐に渡りますから、自分が何をしたいのかを明確にした上で、ある程度の柔軟性を持って就職・転職活動に当たるといいでしょう。

狙い目は新規施設


キャリアアップの手段として使われることも多い社会福祉士。最初から社会福祉士として活躍したいと思っているなら、新規施設の求人をチェックするといいでしょう。

高齢化を受け、介護施設も多く開設されている今。オープニングスタッフとして専門知識を持った社会福祉士・有資格者は歓迎されます。ご自身のキャリアを活かした転職として新規施設は狙い目と言えます。

公務員としての求人はこまめにチェック


待遇面での優遇や、働きやすさなどの点から公務員としての就職は人気です。

一般行政職という名目で募集されるケースとケースワーカー・児童福祉司などという職種で募集されるケースがあり、人口の多い地域では募集人数も比較的多くなっています。

けれど、自治体ごとの採用数はそれほど多くありませんから、競争率は高いです。受験地域を決めたら、こまめに情報をチェックし、早めに準備を進める必要があると言えるでしょう。

まとめ:社会福祉士を目指すなら希望の働き方・分野をはっきりと

高齢化を迎え、需要も高まる介護職の中でも、福祉制度の専門的な知識を持った存在と考えられている社会福祉士。

福祉全般を扱う職種だからこそ、職場も仕事内容も多岐にわたりますので、就職・転職活動の際にはご自身の考える働き方をしっかりと考え、どんな現場で働きたいのかを明確にしておきましょう。