日本の社会福祉問題では急速な介護職の人材確保が迫られる中で、2000年の介護保険制度の導入により介護職員数は大幅に増加していますが、現状は介護を必要とする高齢者の増加に追いついていけない状態です。
さらに介護職員の離職率や介護の資格を有していながら職に就かない人の増加等、実態は多くの問題を抱えています。その原因には、どんなことがあるのでしょうか?
近年のコンプライアンスに関する問題
介護職員の離職率の増加には、コンプライアンスを犯す介護施設・事業所が増えたことが要因としてあります。
これは規制緩和によって、介護事業の経験がない民間企業が新規参入できるようになったことが影響しています。
介護施設とは一般的な企業の様に営業努力で収益を上げることが難しいビジネスモデルになります。
これまで多くの介護施設は、様々な工夫と福祉の精神でコンプライアンスを守りながら運営努力をしてきたわけですが、もしも営利目的に走った介護施設ができたらどうなるでしょう?
利用者である高齢者のことを無視して、経費削減のために人件費や設備投資を削り、そのしわ寄せは職員へといくことになりますから、結果的にサービスの低下につながっていきます。
これまでの介護業界とは全く違った運営の仕方をする介護施設が増え、コンプライアンス違反が横行していきます。 これが、介護施設・事業所における「ブラック」なのです。
ブラック施設・事業所とは
ブラック企業に対しては、厚生労働省が2015年4月に相談窓口「過重労働撲滅特別対策班」(通称「かとく」)を新設し、大手企業の役員が書類送検されるまでに大きな問題となっていますが、残念ながら介護業界においても、これは増加傾向にあります。
ブラック企業とは劣悪な環境で極端な長時間労働やサービス残業を強いる、パワーハラスメントという暴力的強制で非合理的負担を与えるなどとありますが、これが一般企業で起こる以上に大事になるのが介護施設です。
例えば残業時間が100時間を超えるような過酷な職場や理不尽な降格、減俸等の悪化した労働環境の中で働き続け、ストレスや疲労がたまった職員の応対は、そのまま利用者へと向かいます。
たちまち介護施設は殺伐とした職場となり、若い職員は育つことなく辞めていくという完全な悪循環となっていくのです。
またブラック施設・事業所には同族経営というケースも多く、給料の大半が施設長、理事長などの名前だけの役員に支払われていくという点も問題になっています。
ブラック施設・事業所の特徴
労働基準法に違反するサービス残業
労働基準法に違反して、無手当の時間外労働を強いることがサービス残業です。
さらに、「一日30分未満の残業時間は切り捨て」という施設は、サービス残業が常態化している可能性があります。
陰湿ないじめ
介護職の特徴として女性が多いことから年配の女性が新人の女性をいじめる、また環境を改善しようと意識の高い人が出てくると嫌がらせをする意識の低い人たちが増えていき、負の連鎖が生まれていくなどありますが、この背景には劣悪な仕事現場からくるストレス発散のようなものがあると言えます。
給料が安い
介護という職業柄、利益に繋がりにくい分野で基本給が低い傾向にはありますが、資格の有無で手当ては十分につきます。
問題がある施設は、基本給に手当てが含まれているケースや昇給、ボーナスが無いまたは無いに等しい金額となっています。
年間休日数が少ない
年間の休日数が少ないことや有給休暇が取得できない又は理由によって却下されるということはブラック施設・事業所の特徴です。
当たり前のように休日出勤を強いられ、休日が希望通りに取れない施設もあります。
介護施設の基準以上の人数が利用している
施設には利用者の定員があるにもかかわらず、それ以上の人数を受け入れ、介護報酬の減産を免れるように監査の時だけ書類をごまかすという不正行為を行っている施設です。
ブラック施設・事業所に転職しないための5つのチェック項目
絶えず求人を出している
求人検索で注意したい項目です。職員が定着しない、出入りが激しい施設であり、待遇の悪さや人間関係に問題があると思われます。
職員の採用が難航している状況において、改善の余地がない表れとも言えます。
周辺施設より給料が高い
あらかじめ退職者が出ることを予測して高い条件を出しているか、入職後に条件が変わる可能性があります。
また「高い給料を払っているのだから当然」という圧力から、マインドコントロールされるかのように働かされてしまうこともあります。
職員の笑顔が少ない
見学はエントランスだけではなく、利用者がいる職場の雰囲気を見ることが大切です。
職員が利用者と接する様子が無愛想に見える、いい加減な感じに思えたら余裕がない証拠で、人間関係も悪い職場と考えられます。
面接官の態度に注目する
上司になりうる存在や経営陣の対応を見る上でも、面接官の態度をよく観察していくと施設の事情が見え隠れするものです。
面接時に無気力な様子や質問も少なくすぐに採用となるケースは、明らかな人材不足が背景にあると言えます。
役員のほとんどが同じ苗字の同族経営
同族経営でもきちんと業務をこなしている会社はありますが、タイムカードのみ押してほとんど施設に来ない役員が存在し、高額な給料だけもらっているという場合も多くあります。
介護職員がブラック施設・事業所に転職してしまったら早期に退職
自分がブラック施設・事業所に転職してしまったと気づいたら、できるだけ早く退職したいところですが、なかなか辞められないケースもあります。
辞めたいと言う人を辞めさせないからブラックなのですが、そのような施設・事業所の場合は、人手不足もあるので、きつい口調や圧力をかけながら必死で引き止めてきます。
そこで大切なことは、断固として揺るがない自分の意思です。その際の注意としては、賃金未払いにならないように気をつけることです。
転職サイトに登録しコンサルタントに相談する
ブラック施設・事業所を相手に闘い続けることは正義であるかもしれませんが、あまりにも不毛で無味なものであり、大きな損失にしかなりません。
一番避けなければいけないのは、ブラック施設・事業所を辞められない状態が長く続くことでありますから、退職に時間がかかりそうな時は、速やかに介護業界に精通している転職サイトに登録し、プロのコンサルタントに相談しましょう。
現状を打破するためにおすすめの求人サイト
間違ってはいけないのは、介護業界が全てブラック施設・事業所ではないということです。
健全な施設や事業所をしっかりと探して長く勤めながらキャリアアップをしていけば、一般的なサラリーマンの給料と同様か平均以上の収入を得ることも可能なのです。
大切なのは、自分に合った介護施設を探し出すことなのです。転職サイトなら個人では調べにくい役職による給料や離職率、平均勤続年数等も聞く事ができます。
また信頼できるコンサルタントと一緒に探すことになれば、ブラックな職場に勤めるリスクを抑えることができ、気持ちも前向きに転職活動をすることができます。
転職で失敗しないためには転職エージェント選びも重要な要素の一つです。
[aside type=”normal”] 転職エージェントを選ぶ3つのポイント- 求職者の細かな要望に応えられるよう十分な求人を保有している(介護職の場合、特に条件アップや待遇の改善)
- 求人先の離職率や職場の雰囲気、上司の性格などの内部情報を把握している
- 内定をもらうための履歴書のアドバイスや面接対策を行なっている
特にスマイルサポート介護は、介護職からの評価が高く上記3つのポイントを十分に満たす転職エージェントです。
もともと首都圏を中心に求人紹介をしていましたが、今では全国の求人を取り扱う上、派遣での就業もサポートしているためライフスタイルの変化に伴って生涯頼っていける転職エージェントです。
たとえ今すぐに転職するつもりがなくても、普段から転職サイトはマメにチェックしておき、条件の良い求人が出たらすぐに対応できるよう準備しておきましょう。
まとめ:介護職員が転職で成功するために必要なこと
高齢化社会において、今後も需要が高まるであろう介護職員とは、まだまだキャリアアップできる職業です。
そこで介護職員が転職する際に大切なのは、複数の転職サイトを使いこなしてブラックな職場ではない健全な施設の情報を得た上で、自分がどんな職場でどのように働きたいのか自分の条件をしっかりと持つことです。
自分が大切にしたい条件の優先順位をつけて、しっかり探していきましょう。