近年、高齢化に伴い、脳卒中患者も増加しているのは知っているでしょうか?
脳卒中になると、どちらか半身の麻痺が出たり、人によっては認知症状が強く出る場合もあります。
そんな麻痺の程度や、認知症状の有無によって介助方法が異なってくるのはご存知でしょうか。
脳卒中患者の介助方法について深く掘り下げていきたいと思います。
実践、脳梗塞の方の移乗介助
先述しましたが、脳梗塞になると、運動麻痺が出現するケースがほとんどです。
軽症の場合は、点滴だけで退院可能ですが、中等度・重度になると、後遺症が残存し、必ず介助が必要になります。
そんな介助が必要な方に、どのような移乗介助を行うのが望ましいのかを、いくつか例をあげて説明したいと思います。
左手足の運動麻痺、手足がだるんだるんで力が入らないケース
このような患者はよく見かけます。施設よりも急性期病院で多くいらっしゃいます。
脳卒中発症すぐの場合はこのような状態が多く観察されます。では、このような場合実際どのように介助するのか。
重要なポイント
1、手は必ず三角巾をしてあげましょう
手がだるんだるんの場合、肩が外れやすくなってます。
運動麻痺の出ている手というのは、非常にルーズになっています。
強く引っ張ったり、遠心力を加えたりすると、容易に痛めてしまうため、できる限り三角巾をつけて、肩がぶれないようにしてあげましょう。
そうすると肩の保護がされるため、新しい怪我をするリスクが減ります。
2、麻痺のない脚のほうに重心を移してあげましょう
運動麻痺の出ている脚で踏ん張るのは、膝がガクっとなるリスクが高く、介助経験のない人や、経験に乏しい人の場合、転倒させてしまうリスクが高いです。
そのため、必ず麻痺のない脚に体重をかけて移乗を介助するように心がけて下さい。
3、車椅子や、椅子は必ず近くにおいておこう
左右どちらかの手足が動かないと、歩いたり、立ったりすることが難しくなるのは想像できますよね。
もし、介助をして崩れそうになった時、いつでも座れるような環境を作っておきましょう。
そのため、車椅子や、椅子など、歩く必要がない状態を作ってから移乗介助を行いましょう。
認知症状(高次脳機能障害)がある場合の介助方法
認知症状というと、認知症をイメージしますが、脳卒中後の認知症状というのは、認知症とはまた少し違います。
ここでは、「高次脳機能」という言葉を使わせてもらいます。
高次脳機能とは、一言で説明するのは難しいですが、私たちが普段何気なく生活している、できているのはすべて、この高次脳機能がきちんと働いているからなのです。
目で見て、物を確かめる、嬉しい、悲しいといった感情、約束を守ったり、昔話で盛り上がったり、調理をしたり、服をきたりなど、動作をするためにかかせないのが、この高次脳機能とよばれるものです。
ここでは、高次脳機能の一例で説明したいと思います。
左が見えない患者の移乗介助方法
左側が見えない、意識できないといった高次脳機能障害があります。これを、左反側空間無視と呼びます。このような患者様を介助する場合、果たしてどのようにするのがいいのか。
重要なポイント
1、右側から声かけを行いましょう
左側から声かけをしても、反応がないケースが多く、その場合は、患者との呼吸が合わずに介助ができないことが多々あります。必ず右側から声かけを行い、介助準備を整えましょう。
2、無理をしない!
左反側空間無視の患者の場合、その多くはそもそも座る能力が伴っていないケースが多いため、移乗介助を無理に一人で行う必要はありません。
理学療法士・作業療法士などの運動の専門家の指示を仰ぎながら、介助方法を理解されている場合は一人でも可能ですが、難しい場合は、すぐにサポートをしてもらいましょう。
今回は、ごく簡単ですが、脳卒中患者の方の介助の仕方について説明させて頂きました。
介助方法についてはほんの一例です。介助方法を実践する上で、一番大切なのは「評価する」ということです。
患者がどのような運動麻痺、高次脳機能障害が出ているのか、一人で考えず、たくさんの目、知識で考えて、より安全な介助方法の獲得にむけて、是非頑張ってみてください。