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寝たきり女性の排泄処理の際に気を付けるべきこと

介護技術

寝たきり患者の排泄処理

介護の現場では寝たきりの患者さんの介護をすることが多く、中でも排泄の処理は非常に大切な作業になります。

寝たきりの患者さんの場合、成人用オムツと場合によっては尿とりパッドなどを装着して排尿、排便に備えますが、当然いつまでも装着したままとはいかず一定時間おきに交換が必要です。

普通の成人の方の場合はおよそ3時間~4時間おきに一度排尿があり、1日5~6回排尿があります。

しかし寝たきり患者さんの場合は、オムツに慣れてしまうと自分で排尿したという感覚が乏しく、排尿していても気づかないこともあります。その為寝たきり患者さんのおむつ交換は1時間おきに確認して排尿があれば交換するのが理想です。

また排便の場合は便秘等がなければ1日数回程度の排便が理想ですが、寝たきり患者さんの場合は運動することが大幅に減るため腸の動きが悪くなり、排便も不規則になります。

しかし排便は寝たきり患者さんでも気づいて自ら伝えてくることもありますし、においで発見することもできます。

排便の場合は発見したら即オムツを交換する必要があり、発見が早いほど処理も楽になりますので、定期的な見回りの際にしっかり注意することが必要です。

寝たきり患者さんの中でも、排尿、排便に対して男性より女性のほうが体の構造の違いからくる問題が多くあり、特に気を付ける必要があります。

男性と女性の体の違い

寝たきり患者さんの排尿、排便に対して、男性より女性のほうがリスクが大きい箇所がいくつかあります。

女性は女性器の構造が複雑に入り組んでおり、女性器の表面から膣までの間にいくつものヒダや陰毛など汚れがたまりやすくなっています。

その為、寝たきりでの排尿時にはヒダや陰毛などの間に尿がかかり汚れが蓄積されます。

また排便時には排便の量によっては女性器まで便が回ってしまい、ヒダや陰毛にからんだり、悪いときには膣の中にまで入ってしまうことになります。

これを放置しておくと膣炎などの感染症のリスクがありますので、非常に注意が必要です。

男性の場合にも尿や便などが男性器周辺に付着しますが、尿道の中にまで便が侵入してしまうことはほとんどありません。

その為寝たきり患者さんの排泄の処理をする場合には、女性の場合は特に注意して処理しなければなりません。

寝たきり女性の排尿処理時の注意点

寝たきり女性の排尿時には、尿道から出た尿は陰毛や女性器のヒダにかかりながら流れ出て、尿とりパッドやオムツに吸い取られます。

ほとんどの尿は吸い取られて処理されますが、オムツ交換の際には女性器周辺を拭くなどして清潔にしなければなりません。

最近は拭くためのソープなどもふき取るだけで石鹸が残らない清拭剤というものもありますので、これを付けながらふき取るだけでもにおいや汚れが簡単に取れます。

拭き取る際に気を付けるのは毛根にたまった尿をしっかりふき取ることです。

毛根周りは入り組んでおり、ちょっと拭いただけではなかなか汚れが取れませんのである程度ソープを多めにつけてふき取ると効果的です。

また女性器のヒダや、高齢の女性の場合はシワなどにも尿が入り込んでいますので、注意してふき取る必要があります。

また尿が多く出ているときには尿とりパッドに吸収しきれなかった尿はお尻の間などにもたまりますので、量が多い場合はここにも注意しましょう。

慣れてくればふき取るのはわずか数分で終わりますので、尿とりパッドやオムツを交換する際には必ず清潔にふき取りを行いましょう。

寝たきり女性の排便処理時の注意点

排便処理の場合はさらに注意が必要です。寝たきりで排便した場合には、便はお尻周辺だけにとどまらず女性器の前のほうまで回ってきてしまいます。

便この状態で長い時間放置してしまうと、毛根や女性器のヒダ、シワに入り込み、さらには膣内部にまで入り込んでいってしまいます。

膣に便が侵入すると膣炎、尿道炎などの細菌性感染症を引き起こしますので、とにかく早期発見、早期処理が最も大事です。

患者さん本人からの申告や、においなどの排便のサインがあった場合には、とにかくすぐに処理を行いましょう。

排便の処理をするときには、便をふき取るだけでは十分に汚れやにおいは取れませんので、洗浄することが必要です。

しかし洗浄する前にしっかり便を拭き取ることで、洗浄にかかる手間や時間を減らすことができますので、まずは石鹸、ソープを付けながら十分な拭き取りを行います。

お尻の周辺は当然として、陰毛に絡んだ便や女性器のヒダ、シワ、周辺部を念入りに拭きましょう。

しかし女性器周りを拭く際にあまり奥まで指を入れて拭いてしまうと逆に膣の中に便を押し入れることになりますので、便をかきとるように拭き取る必要があります。

十分に拭き取れた後は人肌程度のぬるま湯で洗浄を行い、最終的には乾いた布などで水分を拭き取ります。

洗浄したあとでもヒダやシワなどに便が残っている場合もありますので、念には念を入れて確認しましょう。

ここまでしっかり処理しておけば便のにおいはほぼ残りませんので、部屋の中に便のにおいが漂うことも経験上ほとんどありません。

患者さんが気持ちよく生活を行うためにもにおいをしっかり断つことが生きる気力を沸かせることにもなります。

便秘などで数日ぶりの便がまとめて出てしまうときにはお尻や女性器周辺だけでなく、オムツの処理能力を超えて背中に漏れ出したりすることがありますので、便秘気味の患者さんの場合にはそのあたりもしっかり確認しましょう。

排尿、排便の処理は介護の中でも非常に重要です

排尿、排便の処理は非常にストレスがかかる負担の多い作業ですが、非常に重要な介護作業になります。

この処理を怠ってしまうと病気の原因になる大きなリスクをはらみますし、生活空間に嫌なにおいがいつまでも残ってしまうと患者さんの生きる気力を奪ってしまうことにもつながります。

排尿、排便が一人でできないストレスを一番感じているのは患者さん自身ですので、患者さんのことを第一に考えてしっかり処理することが重要です。