昨今、ご高齢の方が増えてきています。そんな中、増加の一途をたどっているのが、圧迫骨折で入院、入所されるご年配の方々です。
と同時に、介護現場での離職率も増加しており、介護者不足も問題となっています。
これを解消すべく、介護経験のない人が介護現場で働くこともそう珍しいことではなくなってきました。そんな、新人の介護職員の方に見てほしい「圧迫骨折の方に対する介助の仕方」いくつか紹介させて頂きます。
そもそも圧迫骨折って?
圧迫骨折とは、椎骨と呼ばれる25個の骨、つまり、背骨ですね。背骨がなんらかのストレスによって圧迫されてつぶれてしまう状態のことを指します。
加齢に伴い、人間は骨が脆くなりますので、ご高齢の方は、体を屈めたり、重たい物を持ったり、転んでしまったりすることで圧迫骨折を受傷されるケースが少なくありません。
圧迫骨折を受傷されると、その多くのケースでコルセットの着用が義務付けられます。コルセットを着用すると、体を屈めることができなくなるため、日常生活のほとんどに介助を要することがあります。
起き上がりをスムーズに介助するためには
先述のように、コルセットを装着していますので、体を屈めることができません。
起き上がり動作というのは、体をひねったり、横に曲げたりする動きの複合運動になります。
そのため、コルセットによって、「ひねる」「曲げる」といった動きに制限がかかると、起き上がりを自立して行えないケースが多々見受けられます。
そんな時、どのように介助をするのが、患者様にとって楽であり、自分にとっても楽なのか紹介します。
ベットギャッチをうまく使おう
施設・病院の多くは、背上げ式ベットを導入しています。
ボタンを押したら頭が上がるベット見たことありますよね。これを使います。
約50度程度まで頭をあげたら後はスムーズです。ゆっくり、足をベットから垂らして、上体を軽く起こしてあげましょう。
そうすると、体が無理にひねったり、無理に曲がることもありません
移乗時をスムーズに行うためには
起き上がりの次は「移乗」ですね。移乗も実は圧迫骨折の方に対して行う時、注意が必要な介助場面になります。
移乗時に、よく見かけるのが「ドスン」と座らせて、再受傷。というのをよく聞きます。
圧迫骨折をしている状態というのは、骨が潰れている状態ですので、新しい骨折を生じるリスクも高くなっています。
さらに、車椅子やベットかた立ち上がる際にも注意が必要です。体重の重い患者様の場合、介助者が脇をもって持ち上げようとすると、どうしても前に体をまげてから上に引き上げる必要があります。
しかし、圧迫骨折の方は、背骨を過度に曲げると非常に骨に負担がかかります。そこで大事なるのが、過度に体を曲げないことです。
では、どうすればいいのでしょうか。立たせる時、座らせる時、両方の介助のコツについて説明します。
立たせる時は、ベットの高さを少し高くしてから
ベットを高くすると、体を曲げなくても重心が前に乗りやすくなります。すると、患者様は楽に立ち上がりが出来ますので、一度実践してみてください。
座らせる時は、自分が座面を一度確認しましょう
座面が固い椅子や、プラットホームの場合、再受傷のケースが多くなっています。
そのため、座らせるところに、クッションなどの柔らかい物を敷いておくと、骨にかかる負担が軽減しますので、お試ししてみてください。
圧迫骨折の方の基本動作介助については、介助実習などで学習する機会も多いとは思いますが、それでも圧迫骨折の方に対する介助方法が浸透していないのが現実です。
また、基本動作介助だけでなく、服を着替えさせたり、靴下を履いたり、靴を履いたり、体を洗ったりと、日常生活動作の介助の際にも注意が必要な点があります。
基本的には、「背骨」に負担をかけない動きを心がけることが大切です。
介助する上で、体の構造を理解しておくことは、患者様への配慮に繋がり、事故が減りますので、きちんと理解しておいてくださいね。